第1回視察ツアー報告

視察報告

第1回 ORIECC視察ツアー
日時:2023年8月26日(土)13時〜16時
場所:なら歴史芸術文化村
参加者:4名

まず初めに副村長の伊藤様より、奈良県として「奈良県教育振興大綱」や「奈良っ子はぐくみ条例」により、アートプログラム等を通して子どもの育ちを支えていくという意思表示が明確になされてることを伺った。

そして今回の企画「いろいろ ぬるぬる」の開催の様子を見学させていただいた。
各回0〜6歳の子ども5名が参加可能で、3人のスタッフが対応する。
メインのスタッフが企画趣旨を説明しながら子どもたちがわかりやすいように非常に丁寧に導入を進めていくと、
子どもたちは素材の違いや感触の違いを確認しながらどんどん前のめりな姿勢になっていく。

初めは緊張していた子もすぐに活動に夢中になり、手に絵の具を取り、セッティングされた環境の中で手探りで素材を確認する。

その間、2人のスタッフはせわしなく動きながら、子どもたちが活動しやすいように常に環境を少しずつ変えていた。見事な連携。

この企画の面白いとこは今回使用する絵の具の色を白一色に限定していることだろう。(ぺんてるさんのゆびえのぐを使用)

「色がたくさんあると色を混ぜるのに夢中になっていき、それが悪いことではないが、今回は数種類の感触の違う素材に触れて、その素材と絵の具の組み合わせで何を感じるのかを大事にしたかったのであえて色を制限し白一色にすることにした」とプランナーの松長さんが語ってくれていた。

子どもたちはその意図を知ってか知らずか白い絵の具だけでも十分に楽しんで遊んでいる。

そして非常に興味深かったのが、白い絵の具が白く見えない場面があると言うこと。
窓に白い絵の具を塗っていた子が「だんだん茶色くなってきた」と発言したそう。
また、窓の外から塗られた白い絵の具を見ると「なんか青く見える」と。

写真に撮るとまさに茶色く見えたり、青く見えたり。

色は物質そのものよりも光の状態や周りの環境や色との関係性の中で見える。
言語化すると非常に難解な印象を受けるが、子どもたちは遊びの中でそこに気づいていた。

最後にスタッフと子どもたちは今日感じたことを発言し、手や足を綺麗に拭いて終了。

子どもたちもその保護者も満足感のある表情で帰っていく。

私たちはその様子を見た後にそれぞれの感想や意見を交換した。
小学校教員、保育者、養成校の指導員などそれぞれ違う視点での気付き、自分達の現場に帰って活かせることや自分では気付かなかったことを語りあう。

活動の後、記録写真や動画を見ながらスタッフで振り返り、記録をまとめていく様子も見学させていただき、その都度気になることを質問し答えてもらうこともできた。
事前に予想されることと実際の子どもたちの動き、発言。そのギャップを確認しながら丁寧な仕事されていると言う印象を受けた。

企画最終日の忙しい中にも関わらず快く視察を受け入れてくださった、なら歴史芸術文化村の職員さんたちのおかげで、貴重な経験をすることができました。

また次回は9月に「てでかんがえる Vol.3和紙」がスタートするようです。
興味のある方はこちらもぜひチェックしてみてください。